「K2シロップ、今日だった…!」毎週の1本、不安になりますよね
こんにちは。臨床検査技師で、一児のママの「いろママ」です。
赤ちゃんが生まれてすぐ、産院で「これを飲ませてくださいね」と渡される小さなスティックのシロップ。そう、「K2シロップ」です。いまの学会の提言どおりなら、退院したあとも毎週1回自宅で飲ませることになります。
でも、慣れないお世話でバタバタの毎日だと、
「あれ、今日飲ませる日だっけ…?飲み忘れちゃった!」
「そもそも、このシロップって何のために飲ませるの?」
「いつまで続けるの?」
「飲ませた直後に吐いちゃった!もう一回あげるべき?」
…と、不安になることがありますよね。私も、飲ませたあとにゲップと一緒に少し出てきたりすると「今の、吐き戻し!?大丈夫!?」と心配になっていました。

僕もそうだったよ!正直、産院で言われるがままに飲ませてたけど、何で必要なのかちゃんと理解してなかったなぁ…。毎週のことだから、うっかり飲み忘れそうになってヒヤッとしたことも何度かあったよ。
この記事では、臨床検査技師として「血が固まる仕組み」の側から、K2シロップがなぜ必要なのかを説明します。そのうえで、
- K2シロップ(ビタミンK)って何?なぜ赤ちゃんに必要なの?
- いつからいつまで、何回飲ませる?(2021年の提言の「3か月法」)
- 飲み忘れ・吐き戻しのときはどうする?(飲み忘れを防ぐ我が家の工夫も)
- 保管・副作用・便の色のこと(臨床検査技師ママが補足したいこと)
を、学会の提言や薬の添付文書など、元の資料をたどれる形でまとめました。ただし、飲ませ方や回数は産院によって案内が違うことがあります。処方した産院・小児科の説明がいちばん優先です。
K2シロップって何?臨床検査技師ママが「血が固まる仕組み」から解説

K2シロップの正体は「ビタミンK2」の飲み薬
K2シロップは、ビタミンK2を赤ちゃんに補うための医薬品です。代表的な「ケイツーシロップ0.2%」の場合、中身はこうなっています。
- 成分: 有効成分は「メナテトレノン」(ビタミンK2)。1回分の1mLにメナテトレノン2mgが入っています。
- 形: 1回分ずつ、小さなスティック包装に入っています。シロップなので甘みがあります。

へぇー、つまり赤ちゃん用の「ビタミン剤」みたいなものなんだね!なんで必要なのか、もっと詳しく知りたいな。
ビタミンKのいちばん大事な仕事は、血を固めることです。けがをしたときに血が止まるのは、血液の中の「凝固因子」というたんぱく質がリレーのように働くからです。そのうちいくつか(第II・VII・IX・X因子)は、肝臓で作られるときにビタミンKがないと、きちんと働く形になれません。
病院では、この「血が固まる力」をPT(プロトロンビン時間)という検査で調べます。ビタミンKが足りないかどうかは、ビタミンKが足りないときに血液中に出てくるPIVKA-II(ピブカツー)というたんぱく質を測って確かめることもあります。
なぜ赤ちゃんはビタミンKが不足しやすいの?

大人は、ビタミンKを食事(納豆や緑黄色野菜など)からとったり、腸内細菌が作ったりしています。ところが生まれたばかりの赤ちゃんは、次の理由でビタミンKが足りなくなりやすいことが分かっています。
- 胎盤を通りにくい: ママからもらえる量が少なく、ためこみが少ない状態で生まれてきます。
- 肝臓がまだ未熟: 生まれてすぐは、凝固因子を作る力そのものがまだ弱い時期です。
- 母乳に含まれる量が少ない: 母乳はビタミンKが少なめです。(※粉ミルクにはビタミンKが加えられています)
- 腸で作ってもらえない: ビタミンKを作る腸内細菌が、まだ十分にいません。
母乳が悪いという意味ではまったくありません。母乳で育てるからこそ、K2シロップで足りない分を補う、と考えてくださいね。
ビタミンKが足りないと起きる「ビタミンK欠乏性出血症」
ビタミンKが足りないと、血が固まりにくくなり、「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症」が起きることがあります。起きる時期で様子が違います。
- 生まれて数日のうち: 胃や腸からの出血(吐いたものに血が混じる・黒っぽい便)が多く、「新生児メレナ」とも呼ばれます。
- 生後2週以降(遅発型): 頭の中の出血(頭蓋内出血)が多く、命にかかわったり、重い後遺症が残ったりしやすいと学会の提言に書かれています。とくに母乳で育つ赤ちゃんと、胆道閉鎖症など肝臓・胆道の病気がある赤ちゃんで起きやすいとされています。
【予防するとどれくらい違うの?】
予防の投与が広がる前の1980年前後の全国調査では、乳児のビタミンK欠乏性出血症は出生約4,000人に1人、母乳だけで育つ赤ちゃんでは約1,700人に1人に起きていました(厚生省の研究班の報告)。
予防が広がった今でも、ゼロにはなっていません。2015〜2017年に生まれた赤ちゃんを調べた学会の調査では、ビタミンK不足が原因と考えられる頭蓋内出血が13例あり、そのうち11例に肝臓・胆道の病気がありました。一方で、3か月法で飲んでいた赤ちゃんからは、頭蓋内出血は1例も出ていませんでした。

1,700人に1人って、思っていたより身近な数字だね…。毎週の1本にそんな意味があったんだ。
いつまで?何回?いまは「3か月法」で合計13回

2021年11月に、日本小児科学会・日本産科婦人科学会・日本助産師会など16の学会・団体が連名で「新生児と乳児のビタミンK欠乏性出血症発症予防に関する提言」を出しました。そこで勧められているのが「3か月法」です。
【3か月法の流れ】
- 1回目:哺乳が確立したとき(生まれてすぐ・産院で)
- 2回目:生後1週、または退院のときのどちらか早いほう(産院で)
- 3回目から:生後3か月まで週1回(多くは自宅で保護者が)
- 始まり: 2回目の1週間後から。1か月健診まで待たずに、自宅での週1回が始まります
- 頻度: 毎週1回、決まった曜日に
- 回数: 産院での2回と合わせて合計13回(自宅ではおよそ11回)
1か月健診のときにミルクが主体(おおむね半分以上)になっていれば、それ以降はやめてもよい、という注も提言に付いています。やめるかどうかは健診で先生と相談してください。
【「3回法」と言われたら?】
以前は「生まれてすぐ・退院時・1か月健診の3回だけ」の3回法が多く、2018年の調査でも3回法が55.6%、3か月法が22.3%でした。上の調査で頭蓋内出血を起こした赤ちゃんの多くは3回法だったことから、提言では3か月法にそろえることになりました。産院によってはまだ説明が違うことがあるので、渡された説明書の回数を確かめて、分からなければ産院に聞いてみてください。

ただ「3か月まで」って言われるんじゃなくて、生後2週以降の出血を防ぐためっていう理由があったんだね。自宅での約11回、頑張りどころだ!
飲ませ方:スティックから直接はNG。哺乳瓶の乳首かスプーンで
薬の添付文書には、スティックから直接飲ませないことが書かれています。唇を傷つけたり、むせて気管に入ったりするおそれがあるためです。
- 哺乳瓶の乳首に入れる: 乳首の部分にシロップを出して、赤ちゃんに吸わせます。
- スプーンなどに移す: 少しずつ口に入れてあげます。

うちは哺乳瓶の乳首に入れて吸わせる方法でやってたんだ。ミルクをあげる前に、乳首の先に入れて最初にちゅぱちゅぱ吸わせて、そのあとミルクをあげる感じ。自然と飲んでくれるから、結構スムーズだったよ!
飲み忘れ・吐き戻しのときはどうする?
いちばん心配になるのが「飲み忘れ」と「吐き戻し」ですよね。先にお伝えしておくと、どうするかの案内は産院・病院によって違います。ここでは公開されている案内の例を紹介するので、迷ったら処方した産院・小児科に電話で聞いてください。

飲み忘れた!影響は?気づいたらどうする?
「あっ!今日飲ませる日だったのに…」は誰にでも起こります。1回忘れたからといって、すぐに出血が起きるわけではありません。ただ、遅発型の出血が起きやすいのはちょうどこの時期なので、気づいたら予定に戻して、最後まで続けることが大事です。
- 小児科医の解説の例: 思い出した日に1回飲ませる。その次は、もとの曜日に戻しても、思い出した日から1週間ごとにしてもよい(小児科オンラインジャーナル)
- 病院の案内の例: 次の週の予定日から再開する(石巻赤十字病院 小児科の案内)
- 忘れた分を取り戻そうとして、同じ日に2回分まとめて飲ませる必要はありません。
- 何回も続けて忘れてしまったときは、産院・小児科に相談してください。
このように、同じ「飲み忘れ」でも案内が分かれています。手元の説明書にどう書いてあるかを先に確かめてください。

飲み忘れ、本当に焦るよね…。僕もカレンダーに印をつけ忘れて、『あれ?先週飲ませたっけ!?』ってなったことがあるよ。心配なときは、病院に電話して聞くのが一番だね。
飲み忘れを防ぐ工夫(我が家の場合)
- スマホのカレンダーに毎週のリマインダーを設定する(曜日と時間を固定!)
- 冷蔵庫など目立つ場所にカレンダーを貼り、飲ませたらチェックを入れる
- 母子手帳や育児日記に記録する
- 夫婦で曜日や担当を決めて、声をかけ合う
飲ませた直後に吐いた!もう一回あげるべき?
赤ちゃんは、ミルクや母乳と一緒にシロップを吐いてしまうことがあります。まずは慌てずに赤ちゃんの様子を見てください。
- 一度飲み込んでいれば、飲み直さなくてよい(小児科オンラインジャーナル。石巻赤十字病院 小児科の案内も「再度内服する必要はありません」)
- ほとんど飲み込まずに吐き出したときは、新しいものを飲ませる、とする解説もあります(小児科オンラインジャーナル)。手元に予備が無いことも多いので、このときは産院・小児科に電話で確認するのが安心です
私も吐き戻しが心配で、毎回飲ませたあとはしばらく縦抱きでゲップを待ってから様子を見ていました。幸い、うちの子は吐き戻すことはほとんどありませんでした。

「一度飲み込んでいれば大丈夫」って知ってるだけで、だいぶ気持ちが楽になるね。全部出ちゃった!ってときは、電話で聞けばいいんだ。
臨床検査技師ママが補足したい4つのこと

① K2シロップと一緒に「便の色」も見てください
2021年の提言は、じつはK2シロップと並べて「便色カード」の活用を勧めています。上の調査で頭蓋内出血を起こした13例のうち11例に、胆道閉鎖症などの肝臓・胆道の病気があったからです。こうした病気があると胆汁が腸に出にくくなり、ビタミンKをうまく吸収できません。
母子手帳には便の色を見比べる「便色カード」が付いています。便の色が白っぽい・クリーム色・薄い黄色のときは、早めに小児科を受診してください。K2シロップをきちんと飲んでいても、胆道の病気がある赤ちゃんは足りなくなることがあるので、こちらも大事なサインです。
② 保管は室温でOK(冷蔵庫に入れなくて大丈夫)
ケイツーシロップ0.2%の添付文書では、貯法は「室温保存」です。直射日光や高温になる場所は避けて、スティックに書かれた使用期限の中で使います。産院から別の保管方法を言われていれば、そちらに従ってください。
③ 副作用や成分は?
提言には、3か月法でビタミンKの取りすぎが起きたという報告はないと書かれています。添付文書の臨床試験の記載でも、副作用は認められなかったとされています。
ビタミンK以外に、保存や飲みやすさのための成分(安息香酸ナトリウム・D-ソルビトール液・ゴマ油・香料など)が入っています。気になる成分がある場合は、自己判断でやめずに産院に相談してください。成分の詳しい話は、K2シロップを「飲ませたくない」と感じたときの記事にまとめています。
→ K2シロップを飲ませたくない?自然派で添加物が心配?その不安、誤解かも!【ホメオパシー事件の教訓】
④ 海外ではやり方が違う?早産や病気の赤ちゃんは?
国によっては、生まれてすぐにビタミンK1を筋肉注射するのが一般的です。日本は飲み薬(K2シロップ)を何回かに分けて飲ませる方法です。提言には「欧米で3か月法を採用している国が多くある」とも書かれていて、飲み薬を続けるやり方も海外で使われています。
早産で生まれた赤ちゃんや、肝臓・胆道の病気がある赤ちゃんは、飲ませ方や期間が変わることがあります。必ず主治医の先生の指示に従ってください。
我が家のK2シロップ:毎週の「飲ませた?」が地味に大変でした


改めて思い返すと、毎週のK2シロップ、地味に大変だったなぁ(笑)。まず、忘れないようにするのが一番のプレッシャーだった!スマホのリマインダーと、夫婦での声かけは必須だったね。それから、飲ませる時の緊張感! 哺乳瓶の乳首作戦で比較的スムーズだったけど、それでもちゃんと飲んでるか、吐き出さないか、毎回ドキドキしたよ。

あったわねぇ、そういうこと(笑)。吐き戻しは幸いほとんどなかったけど、それでも毎回飲ませた後は、しばらくゲップ待ちで縦抱きにして、ヒヤヒヤしながら様子を見てたわ。

でも、こうやってK2シロップの意味を学んでみると、あの毎週のドキドキも、息子の命と健康を守るための大切な時間だったんだなって思うよ。これから始まるパパママには、意味を知ったうえで前向きに取り組んでほしいな!
まとめ:K2シロップは13回。迷ったら説明書と産院に確認を

【今日のおさらい】
- K2シロップはビタミンK2の飲み薬。血を固める力を守り、赤ちゃんの頭蓋内出血などを防ぐためのもの
- いまは3か月法(生後3か月まで週1回・合計13回)が勧められている。自宅での週1回は退院した次の週から
- 1か月健診でミルクが主体なら、それ以降はやめてもよい(先生と相談)
- 飲み忘れ: 1回で慌てなくて大丈夫。説明書の案内どおりに予定へ戻す。何回も忘れたら相談
- 吐き戻し: 一度飲み込んでいれば飲み直さなくてよい。ほとんど飲み込めなかったときは産院・小児科に確認
- 保管は室温。スティックから直接飲ませず、哺乳瓶の乳首やスプーンで
- 母子手帳の便色カードも一緒に見て、便の色が薄いときは早めに受診を

K2シロップは、新生児期のパパママのちょっとしたミッションだよね。でも意味が分かれば、不安も軽くなるはず。困ったら一人で悩まずに産院や小児科に聞く、これに尽きるね。
小さな1本ですが、赤ちゃんの健やかな成長を守るための大切なお守りです。この記事が、K2シロップの不安を少しでも軽くできたらうれしいです。
(※この記事は一般的な情報をまとめたものです。飲ませ方・回数・飲み忘れのときの対応は、処方した産院・小児科の指示を優先してください。)
参考にした資料
- 日本小児科学会・日本産科婦人科学会ほか16学会・団体「新生児と乳児のビタミンK欠乏性出血症発症予防に関する提言」(2021年11月30日)
- PMDA「ケイツーシロップ0.2% 添付文書」(2023年4月改訂)
- 小児科オンラインジャーナルの K2シロップの解説(小児科医 金澤結)
- 石巻赤十字病院 小児科「新生児の出血性疾患予防のためのビタミンK2シロップの予防投与について」(令和4年4月)
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